事例を動画で学ぶ経営学(7)既存商品から新しい顧客ニーズを創造した「エイラクヤ」

2013-07-25

中小企業経営

京都府の(株)エイラクヤ(資本金2,600万円、従業員30人)は、400年近く続く老舗企業です。戦後はタオル卸をしていましたが、中国からの輸入品との競合などから収益が悪化。婿養子で14代目となった現社長は不採算のタオル卸からの撤退を決断するとともに大胆なリストラを実行しました。

タオルに代わる新たな収入源として、蔵に残っていた明治から昭和初期の日本手拭の復刻販売を開始し、現在では4つの直営店で販売を行っています。眠っていた経営資源を生かし、見事復活を遂げた同社の経営革新を紹介します。





エイラクヤは、手拭という既存の商品を徹底的に品質改善し、他社に真似ができない高級品として差別化を図っています。
経済が成熟化した現在、新しい経営資源を創造することは容易ではありません。この点、全く新しい技術・製品を生み出すよりも、古くから引き継いだ既存の経営資源を再利用して新たなニーズを作り出す方法のほうが、経営革新の実現可能性は高いと考えられます。既存商品の新しい顧客ニーズを喚起する経営革新手法、これは低成長時代の競争戦略として極めて効果的なものでしょう。


(出所:中小企業基盤整備機構 企業未来)

事例を動画で学ぶ経営学(6)病院の周辺業務のアウトソーシングを行う「第一食品」

2013-07-25

中小企業経営
病院食といえば、かつてはまずい食事の代名詞のようなものでした。
その観念を覆したのが大阪府の(株)第一食品(資本金4億3,640万円、従業員244名)です。
わが国初の「完全院外調理システム」を開発・導入し、一日6,000食を病院・施設に提供しています。





入院患者や施設の入居者に美味しくて栄養バランスのある、安全な食事を提供し、しかも病院・施設の膨大な設備や人件費の削減に役立つこのサービスは、給食の大量生産による規模の経済を活用したものです。

病院の周辺業務のアウトソーシングによって、付加価値の向上とコスト削減を実現した素晴らしい経営革新事例と言えましょう。

(出典:中小企業基盤整備機構 企業未来)

「価値喪失株式のみなし譲渡損の扱い変更」

2013-07-04

公認会計士,税理士,相続

価値喪失特定管理株式の上場廃止手順


上場株式の上場廃止には手順があり、上場廃止の可能性が出てくると、監理銘柄となり、さらに上場廃止が確定すると整理銘柄となり、原則として1か月後に上場廃止されます。監理銘柄になっても、すぐ解除になるものもあります。オリンパス、大王製紙などがその例です。

価値喪失特定管理株式と証券会社

株主の保有する株式は、証券会社においては、上場廃止により特定口座から「特定管理口座」(上場廃止後の株式を保管する口座)に移管されます。その後倒産等が確定し、清算結了となり、あるいは、日本航空のように100%減資が実施されると、その株式の無価値化が確定します。そうすると、証券会社はその元株主の顧客に「価値喪失株式に係る証明書」を交付します。

価値喪失特定管理株式と税務手続き

「価値喪失株式に係る証明書」は、その交付に係る年分の確定所得申告書に添付することにより、価値喪失株式の取得価額相当額を株式譲渡損とみなし、他の株式等の譲渡益と相殺することができる特例制度を使えます。

上場株式の譲渡損失については、配当所得との損益通算及び株式譲渡損失の3年間の繰越控除の規定の適用があります。この点、整理銘柄になって1円の株価になったところで売却した株主の譲渡損も、上場株式の譲渡損であることに変わりないので、配当所得との損益通算及び譲渡損失の3年間繰越控除の規定の適用があります。

従来の取扱い

従来は、価値喪失株式の損失は株式譲渡損とみなされるものの、配当との通算、3年繰越控除の規定の適用はありませんでした。その理由は、特定管理口座株式は、すでに上場廃止となった株式なので、非上場株式に分類され、そして、生じたとみなされた譲渡損失は、非上場株式の譲渡により生じた損失ということになり、上場株式への特典を享受できなかったからです。

非上場の価値喪失株式は上場株式と同等の取り扱い

今年の税制改正で、価値喪失特定管理株式に係る価値喪失損について、上場株式配当との通算、株式譲渡損失3年繰越控除の規定の適用が受けられるようになりました上場株式の痕跡を残すものは、とことん上場株式の仲間として遇する姿勢に転換したからです

「株価を引下げる方法(5)持株会社の設立」

2013-07-01

不動産相続と事業承継

業績が好調で、翌期以降も黒字基調が継続すると予想される場合、将来的に株価が上昇して相続税負担が増加することは目に見えています。このような場合、緊急避難として持株会社を設立することにより、将来の株価上昇を軽減することが可能となります。

事業承継,持株会社,株式

株式の直接所有から間接所有へ

持株会社を設立することによって、事業会社の株式を直接所有している場合と、持株会社を通じて事業会社の株式を間接的に所有している場合とでは、株価の計算方法に違いがあることを活用します。すなわち、事業会社を間接保有にすると、直接保有にする場合と比較して相続税評価額を引き下げることができます。 

純粋持株会社とする場合

純粋持株会社とする場合には、相続税評価において株式保有特定会社となり、純資産価額方式によって評価されることになります。この際、保有する子会社株式の時価と簿価との差額、すなわち、含み益部分について42%の控除が認められるため、純資産価額を低く抑えることができます

直接所有する株式の「含み益」は、個人で株式を保有している場合には、すべてが課税対象となります。ところが、持株会社を通じて株式を間接保有していると、事業会社の「含み益」は法人税等相当額42%が控除されて評価されます。結果的に、株式の間接保有によって税負担を軽減させることができます。

もちろん、設立初年度は、事業会社の評価は持株会社における子会社株式の評価と一致して節税効果はありません。しかし、設立後、長期間にわたって事業会社が利益を計上することによって生じる含み益に対して、法人税等相当額42%を控除して評価することができるため、純粋持株会社の株価上昇を抑えることが可能となります。これは長期間にわたって効果が生じる方法ですから、将来の成長が期待される会社であるほど、早期に持株会社化すべきと言えます。

事業持株会社とする場合

持株会社に事業を営ませるのは、子会社株式の総資産に占める割合を50%未満に引下げ、株式保有特定会社から外すためです。これにより、持株会社の株式を評価の際には、比較的評価額が低く算出されることの多い、類似業種比準価額方式が適用できるようになります。

一般的には、不動産を保有させて事業会社に貸し付ける、人事・総務・経営企画などの管理部門のみ持株会社に残して事業会社と切り分けるなどの組織再編を行います。

持株会社を新設することによって上記のような株価引下げ効果がありますが、これは「株式移転」や「会社分割」を使って新会社を作るスキームに限定する必要はなく、「株式交換」等の組織再編スキームを使って既存の会社を持株会社化するスキームによっても同様の効果を得ることができます。すなわち、オーナーが所有する既存の会社へ他の会社の株式を移転させることによって、グループ内で親会社と子会社の関係を作り、持株会社化させるのです。

上述したように、持株会社は株価上昇を抑える節税策として機能しています。しかし、最近では、節税以外の様々なニーズに対応して持株会社を設立した結果として相続対策になったというケースが多く見られます。

オーナーが自社株を現金に替えたい場合

例えば、オーナーが保有する自社株を現金化したいというニーズが挙げられます。これは、オーナーが「まだ退職はできないから退職金はもらえない、しかし、元気なうちにある程度まとまったお金をもらって、自由に使いたい。」という経営者が考えることです。また、株式の贈与を受けた後継者が納税資金を作るために株式の一部を現金化しようとする場合もあります。

もちろん、株式を発行会社に売却して現金化するのではなく、後継者へ売却することが最善の相続対策ではありますが、後継者が銀行借入れをしなければ購入資金が用意できない場合には無理があります。

しかし、自社株の取得を行おうとする場合、株主総会の特別決議による承認を得られるとしても、税務上の取扱いが問題となります。すなわち、発行法人による自己株式の買取りは、売り手側の売却益が「みなし配当」となり、最大で44.4%の所得税が重く課されます。

そこで、税負担を軽くするため、発行会社ではない関連会社に売却するという案が浮上します。関連会社で事業をやっている会社があれば、株式の購入資金を十分に持っている場合があります。また、事業法人であれば、銀行借入れをしたとしても返済していくことができるでしょう。結果として、株式を取得した関連会社は、持株会社としての性格も持つことになります。

この際、関連会社の株主を後継者としておくことができれば、株式の買取りによって、結果的にオーナーから後継者へ株式移転を実行したこととなるため、さらに効果的でしょう。

親族に分散した株式を集約したい場合

もう一つは、親族間で株式が分散しているため、株式発行法人で自社株を買取って集約したいというニーズです。親族に株式が分散している状況は相続時に問題となるため、早めに解決しておきたいと思ったとき、まず思いつく案の一つです。

この点、自社株の取得であれば、親族の理解も得やすい場合が多いようですが、税務上の取扱いが問題となります。すなわち、発行法人による自己株式の買取りは、売り手側の売却益が「みなし配当」となり、最大で44.4%の所得税が重く課されます。

そこで、税負担を軽くするため、発行会社ではない関連会社への売却案が浮上します。関連会社へ売却すれば、売り手側の売却益に対する所得税は20%で済みます。結果として、関連会社は持株会社としての性格を持つことになります。

この場合においても、関連会社の株主を後継者としておけば、株式の買取りによって、結果的に分散していた株式を後継者へまとめることができたことになります。

グループ内の資金移動は受取配当金の益金不算入を活用

持株会社が子会社である事業会社から配当を受ける場合、25%以上を6ヶ月継続保有すれば、その受取配当金が益金不算入になるため、非課税で資金移動することができます。

また、上述したような株式買取りや組織再編の結果として株式を相互持ち合いするケースが多く見られますが、株式相互持ち合いを解消するために自己株式の買取り行う場合、「みなし配当」の益金不算入によって税負担を軽減できる場合があります。

株式承継対策は、相続税はもちろんですが、法人税、所得税など総合的に検討して進めていく必要があります。

後継者を株主とした持株会社設立

持株会社設立による株式承継対策を行う場合、上述したように、緊急避難の策として、オーナーが自ら持株会社を設立することが効果的ですが、最善の手段は後継者が株主となって持株会社を設立することです持株会社の株式を現オーナーではなく後継者が所有していれば、オーナーの相続時に株式が相続財産に含まれていないため、自社株に係る相続税とは無関係となります。その結果、後継者はオーナーの相続税を気にすることなく会社の業績アップに邁進することが可能となります。

もちろん、会社の株主が変更されるわけですから、株式の譲渡(売却又は贈与)が必要となり、所得税又は贈与税の負担が伴います。また、売却の場合には、後継者が購入資金を用意しなければなりません。しかし、健全な会社であれば、事業承継に必要な資金を積極的に融資する金融機関が多く、銀行借入れによって購入資金を調達するケースが多く見られます(金融機関が積極的に提案しています。)。また、生前贈与の場合には、相続時精算課税の適用によって一気に株式を移転してしまうことも効果的でしょう。

後継者が設立した持株会社に株式を売却することは、遺産分割に伴う事業承継対策にも有効です。事業継続を考えた場合、後継者が株式を所有することが会社経営を行っていくうえで、とても大切になります。後継者以外の相続人に株式を相続させることは、会社経営を脅かすことにもなりかねません。そのため、事業会社の株式を売却することで現金化し、後継者以外の相続人には現金を相続させることで、遺産分割に係る親族間の争いを回避することができるのです。

なお、会社の全部を後継者へ承継するのではなく、高収益部門など事業の一部のみを承継させようとする場合、後継者が設立した会社に対する事業譲渡又は会社分割によることになります。これについては、高収益部門の後継者への移転方法」 をご参照ください。

一橋大学大学院商学研究科修士課程修了(経営学及び会計学専攻)
税理士、公認会計士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員

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