「小規模企業共済の掛金を承継した場合の課税関係」

2013-09-29

 小規模企業共済制度は、個人事業主や小規模な会社等の役員が事業をやめたり退職等をした場合に、生活の安定や事業の再建を図る資金をあらかじめ準備しておくもので、いわば経営者の退職金制度です。

この共済制度は、昭和40年から存続する制度で、掛金の全額を所得控除の対象となり、もっともオーソドックスな節税商品とし多くの事業主の方に利用されています。                    

一時金を受け取る場合

共済契約者(掛金を負担した人)が亡くなり、遺族が共済金を一時金で受け取る場合、その課税関係はどうなるかが問題となります。

所得税は全額非課税です。一方、相続税法では、共済金は死亡退職金として取り扱われ、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、500万円×法定相続人の金額まで非課税となります。

掛金を承継した場合

なお、一時金の請求に代えて、相続人が共済契約者である被相続人の事業を相続し、契約者の掛金及び納付月数の承継通算をすることもできます。

この場合の課税関係については明確な取扱いはありませんが、東京国税局より文書回答が公表されています。

それによりますと、一時金に関する権利(共済金を請求する権利「受給権」)は、①みなし相続財産として相続税の課税対象になる、②当該受給権は、相続税法に規定する退職手当金等に含まれる、③一定金額(500万円×法定相続人の数)は相続税の課税価格に算入されず非課税財産となる、④当該受給権の評価は、相続開始時に本件一時金の支給を請求した場合に受け取ることができる額というもので、一時金の支給と同様な取扱内容となっています。

共済金の受け取り順位

共済契約者が亡くなった場合の共済受給権の受け取り順位は、一般の相続財産におけるものとは少し異なり、小規模企業共済法で定められていますので、留意が必要です。

具体的な受給権の順位は、次のようになっています。

第1順位は配偶者(内縁関係者も含む)で、第2順位以下は共済者が亡くなった当時、共済契約者の収入によって生計を維持していた方で子、父母、孫等と続き、そして、次に、共済契約者の収入によって生計を維持していなかった方で子、父母、孫等の順位となっています。

医療法人の事業承継とM&A

2013-09-25

近年、病院をはじめとする医療機関のM&Aが増加しています。

売り手は後継者不在や将来の経営に対する不安から、買い手は規模拡大による経済的メリット追求や地域医療計画等により病床を獲得することが困難なエリアへの展開を狙ってM&Aを決断するケースが多くみられます。

医療機関のM&Aを理解するためには、そもそも株式会社と異なる医療法人という制度の理解が不可欠です。

(1)医療法人制度の概要

A. 医療法人とは

病院には、個人の開業医が運営するケースと法人の形態で運営するケースがありますが、法人形態をとっているのが医療法人となります。 医療法人は、医療法に基づいて設立されるため、会社法に基づく株式会社と比べて、様々な制度が異なっています。

なお、医療法による区分によると、ベッド数が20床以上のものを病院、それ未満であれば診療所と区別されています。  

B. 医療法人の特徴

イ)非営利性が徹底され、営利目的の病院等の開設は許可されず、出資者に対する配当は禁止されています。「出資持分」という考え方は医療法人の非営利性に反するという見解により、現在では出資持分のある医療法人を設立することはできません(経過措置あり。)。

ロ)設立には都道府県知事の認可が必要です。

ハ)なお、医療法人総数のうち、財団は0.8%、社団は99.2%であり、ほとんどの医療法人は社団となっています(平成23年3月31日現在厚生労働省データ)。

C. 医療法人の類型と出資持分の有無

平成19年4月の第5次医療法改正により医療法人制度は、いわゆる「地上2階、地下1階の制度」となりました。この改正以降は非営利性の観点から出資持分に対する財産権を認めず、出資持分の定めのある医療法人を設立することはできないこととなりました

しかしながら、社団である医療法人のうち持分の定めのあるものが依然として約9割を占めているというデータがあります(平成23年3月31日現在)。医療法人M&Aについても、対象法人が持分の定めのある社団法人であるケースが最も多いものと想定されます。

イ)出資持分の定めあり

医療法人制度の「地下1階」に相当する法人です。旧制度下の法人制度のため現在は新規設立できませんが、既存の法人については当分の間存続が認められています。 出資者に財産権(退社時における持分の払い戻し請求権等)が認められている経過措置型医療法人と、持分の払戻等については払込出資額を限度とする出資額限度法人があります。

ロ)出資持分の定めなし

「地上1階」「地上2階」に相当する法人です。活動の原資となる資金を基金(返還義務のある拠出)という形で調達する基金拠出型法人と、一般の持分なし社団があります。その中でも、特に公共性の高い社会医療法人が「地上2階」にあたります。

D. 医療法人の意思決定機関

社団医療法人の場合は「社員総会」が意思決定機関、「理事会」が職務執行機関という位置付けになっています。なお、社員、理事とも主体になれるのは個人のみです。 出資持分と社員権がリンクしていない点など、医療法人M&Aにおいては非常に重要なポイントです。よって、M&Aの条件に経営陣の退社・入社を入れ込むことは必須となります。

イ)社員総会と社員

社員総会は構成員である社員により組織される意思決定機関です。医療法人においては一社員一議決権となっており、出資持分の多寡と議決権数は関係がありません。 すなわち、株式会社と異なり、持分のある医療法人であったとしても出資持分を増やして議決権を押さえるといったことはできません。 社員が出資持分を持つかどうかは医療法人の定款で決まるため、全く持分の無い方が社員となっていることもあり得ます。

ロ)理事会

医療法人は、理事を3人以上置かなければなりません。理事は、理事会という機関で医療法人の職務執行権限を持つこととなります。なお、理事のうち1名を理事長として選出する必要があります。理事長は原則として医師である必要があります、都道府県知事の認可を受けた場合に限り例外として非医師であっても選出可能です。

E. 医療法人が行うことのできる業務(介護との関連)

医療法により、医療法人が行うことができる業務は「病院」「診療所」「介護老人保健施設の運営」と定められており、これらを本来業務と呼んでいます。医療法人はこの他、本来業務に支障を来さない範囲で附帯業務(看護等の専門学校、薬局、有料老人ホームなど限定列挙)・付随業務(病院敷地内の売店、駐車場など)を運営することが可能です。

(2)医療法人のデュー・ディリジェンス

デュー・ディリジェンスにあたり、貸借対照表、損益計算書や各施設毎の採算管理資料、入院患者回転率表など財務・経営関連資料の調査はもちろん重要ですが、それらに加えて以下の項目がポイントになります。

イ)医療法人の類型等の確認(決算届の入手)

持分の定めのある法人か否かといった点を含め、医療法人の類型等を確認することが非常に重要です。医療法人の類型を確認できる資料として「決算届」が挙げられます。これは、医療法の規定に基づき医療法人が都道府県知事に対して毎年提出する書類です。この決算届は事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、監事監査報告書で構成されており、医療法人の類型を含む全体像を確認するための有益な資料です。

ロ)診療報酬関連

日本の社会保障制度の中では、医療費の一部を国民負担、残りを健康保険組合等の保険者が負担することになっています。患者が診察を受けた後、医療機関は診療報酬請求書とレセプト(診療報酬明細書)を社会保険支払基金などの審査支払機関に提出・請求します。その医療機関のレセプト枚数により規模感を確認したり、支払基金からの入金通知書を入手して手続が適正に行われているか、過誤請求がどのくらい生じているか等を確認することが重要です。

なお、医療法人の社会保険診療報酬等については、事業税が非課税となります。 医療法人の評価を行ううえで繰延税金資産・負債を計上する際には、適用する実効税率にもご注意ください。

ハ)固定資産

建物や医療機器などに老朽化が進んでいる場合、M&A後に多額の投資が必要となることが想定されるため、いわゆる税務上の時価による評価では妥当性の確保が難しいケースがあります。また、医療機関の土地については流動性が低いことから、相続税評価等一般的に採用される評価額に連動しないこともあり得ます。 特に不動産については、場合によっては不動産鑑定評価書によって適正な価値を算定することや中長期的な修繕費用等の維持コストを見積もることが必要になることもあります。

二)人材の確保状況

医療機関にとって、人材の質を保つことは非常に重要です。特に医師・看護婦の採用について、一定のルートを確保しているかどうかを確認する必要があります。医師であれば医大の特定の医局にルートがある、看護師であれば地元の専門学校にルートがある、といった情報を入手することが重要です。他の業界に比べ、医療機関は多数の有資格者で構成されていることから人材についてもある程度の流動性がありますが、採用ルートの有無により経営の安定性をある程度予測することができます。

ホ)MS法人

MS法人とは「メディカルサービス法人」の略で、医療行為以外のサービスを提供するための法人です。医療法人への不動産賃貸やリネンサービス、医薬品の仕入・在庫管理等の医療周辺業務を提供することが一般的です。これにより、医療サービスに係る収入が医療法人とMS法人に分散されることとなります。

業務委託料や手数料率の設定等、税務署は節税目的のMS法人活用を比較的厳密に見る傾向がありますが、MS法人を積極的に活用し運営している医療法人が多数存在します。 医療法人の正常収益力把握ならびにM&A実行後のMS法人の取扱いを検討する必要があるため、MS法人を含めた対象医療法人グループのビジネス・フローを分析することが重要です。

(3)医療機関M&Aの取引スキーム

病院をはじめとする医療機関のM&Aを検討する際には、株式会社をはじめとする事業会社のM&Aとは異なり出資持分の有無や医療法・各自治体の認可といった業界特有の事項に配慮しつつ進めていく必要があります。

医療法人は、事業譲渡に加え、合併出資持分の譲渡経営陣の交代によるM&Aが可能です。前述の通り、「持分の定めのある法人」「持分の定めのない法人」のどちらに該当するかによって取り得るM&Aの手法が異なるため、留意が必要です。

イ)合併

組織再編行為については、医療法の中で合併(新設合併・吸収合併)のみが認められています。社団法人同士もしくは財団法人同士であれば合併が可能です。

ロ)出資持分の譲渡

持分の定めのある法人は出資持分譲渡によりM&Aが可能です。医療法には出資持分の譲渡に関する特段の規定が置かれていませんが、実務上は一般的に用いられています。この際、出資持分譲渡に伴い社員・理事長の退任を組み合わせることで医療法人の財産権と支配権の両方を移転させることになります。そこで、売り手にとっての手取額、買い手にとっての初期投資額の調整のため、医療法人のM&Aの対価を出資持分価値と役員退職金支給額に分けることも多く行われます。

ハ)社員の入社・退社

持分の定めのない法人は社員の入社・退社により、財団の場合は理事・評議員・監事の交代によりM&Aを行います。この場合、退任する経営陣に退職金を支給することをM&Aの対価として取り扱う手法が一般的です。

(4)スキーム検討上の注意事項

イ)対象医療機関が補助金の交付を受けている場合

医療機関が自治体から交付を受ける補助金については、通常は使途制限が設けられています。M&Aの対象となる医療機関が自治体から補助金の交付を受けて建物や医療機器を取得している場合、これら使途制限に該当してしまうときは補助金を返還する必要が生じます。M&Aを進めていく中で、対象医療機関が補助金を受けているかどうか、またその補助金の使途制限がどのような種類のものかを確認することが重要です。

ロ)理事長の利益相反取引について

医療法では、医療法人の利益を犠牲にして理事長個人の利益を優先する可能性のある「利益相反取引」について規定を置いています。理事長の所有する不動産(病院敷地など)を医療法人が譲り受けるケースや、医療法人から理事長への贈与など利益相反取引に該当する場合、特別代理人を選任する必要があります(医療法には罰則等の規定はありませんが、民法の規定を準用し無効な取引になるという考え方があります)。 M&Aのスキーム構築にあたりこのような利益相反取引が生じる可能性がある場合は留意が必要です。

 

「上場会社の非上場化(MBO等)の株価算定に係る適時開示規則の改正」

2013-09-21

2013年7月8日に公表された適時開示規則の改正により、MBO(公開買付者が対象会社の役員である場合の公開買付け)を行う場合や、支配株主等が買付者となる公開買付けを行う場合の開示内容が拡充されました(2013年10月1日から適用)。

従前から、上場会社が上場廃止を伴う公開買付けを受ける場合や支配株主から公開買付けを受ける際等には、上場会社は意見表明に際して第三者算定機関からの株価算定書を取得して証券取引所に提出することが求められていましたが、その際に算定内容を開示するにあたっては、採用した算定方法と算定結果、その方式を採用した理由を記載すれば足りていました。

しかし、本改正後は、類似上場会社比較法であれば選択した類似上場会社とその選定理由や倍率として採用した財務指標等、DCF法であれば、前提とした財務予想の具体的な数字や割引率、残存価値の算定方法と採用した数値等の具体的な算定方法を開示することが求められることとなります。

これらはこれまで、少なくとも日本では、一般に開示されることがほとんどなかった情報です。

「(3)算定に関する事項 ②算定の概要」に係る開示・記載上の注意事項は、以下のように改正されました。

3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由(3)算定に関する事項②算定の概要

・  MBO等に関して意見表明を行う場合には、算定の重要な前提条件として、市場株価法、類似会社比較法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法については、以下の内容を含めて記載する。その他の算定手法については以下の内容に準じて重要な前提条件を記載する。

①  市場株価法

・算定基準日、計算対象期間及び算定基準日が算定書作成日当日又はその前営業日でない場合には、当該日を基準日とした理由
・計算方法(終値単純平均か加重平均かの別)
・その他特殊な前提条件がある場合には、その内容

②  類似会社比較法

・比較対象として選択した類似会社の名称及び当該会社を選択した理由
・マルチプルとして用いた指標(EV/EBITDA、PER、PBRなど)
・その他特殊な前提条件がある場合には、その内容

③  ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法

・算定の前提とした財務予測(各事業年度における売上高、営業利益、EBITDA及びフリー・キャッシュ・フロー)の具体的な数値
※  上場維持を前提とする場合を除く。
・算定の前提とした財務予測の出所
・算定の前提とした財務予測が当該取引の実施を前提とするものか否か
・算定の前提とした財務予測で大幅な増減益を見込んでいるときは、当該増減益の要因


※上場維持を前提とする場合は、算定の前提とした財務予測で大幅な増減益を見込んでいるときはその概要(計数を含む。)及び増減益の要因を記載し、算定の前提とした財務予測で大幅な増減益を見込んでいないときはその旨を記載する。

※「大幅な増減益」に該当するかどうかについては、各当事会社の当該公開買付け実施後5事業年度のいずれかにおいて、各々の前事業年度と比較して、利益の増加又は減少見込額が30%未満であるか否を目安とする。

・割引率の具体的な数値(レンジ可)
・継続価値の算定手法及び算定に用いたパラメータの具体的な数値(レンジ可)
・その他特殊な前提条件がある場合には、その内容

繰越欠損金を有する会社をM&Aで買収した場合の効果

2013-09-16

以前は、繰越欠損金のある会社をM&Aで買収して節税対策を行うという手法が盛んに行われていました。これは、繰越欠損金を有する企業をM&A買収し、その会社に黒字の事業を移すことで課税所得の圧縮を図ろうとする租税回避スキームでした。

しかし、現在はこのような目的のM&Aを実行することが難しくなっています

以下に説明する規制により、この租税回避スキームがかなり制限されておりますので注意が必要です(法人税法第57条の2)。

繰越欠損金が使用できなくなる要件

繰越欠損金の使用が制限されるのは、特定の株主によって50%超の株式を直接・間接に保有されている会社です。

繰越欠損金を有する法人(以下、「買収された会社」といいます。)において、特定支配関係(50%超の持株関係、以下、「買収」といいます。)が生じた後5年以内に、以下のいずれかに該当する場合は、該当事業年度以降において、それ以前に生じた欠損金を繰越すことができません。

1. 買収された会社が、買収以前において事業を営んでいない場合において、買収以後に事業を開始すること

つまり、休眠会社をM&Aで買収して新たに事業を開始させても、休眠会社の繰越欠損金は使えないということです。

2. 買収された会社が、買収の直前において営む事業のすべてを、買収後に廃止し(または廃止することが見込まれている場合)、旧事業の買収直前における事業規模のおおむね5倍を超える資金の借入または出資を受け入れること

つまり、M&Aで買収された会社の事業を廃止させ、廃止した事業規模の5倍を超える多額の資金を注入した場合は、従来の事業で発生した繰越欠損金は使えないということです。

3. 買収するほうの会社が、欠損等法人に対する債権を取得している場合において、買収した会社が旧事業の買収以前における事業規模のおおむね5倍を超える資金借入等を行うこと

つまり、M&Aで買収された会社に対する債権を保有しつつ、事業規模の5倍を超える多額の資金を借り入れをさせる場合は、従来の事業で発生した繰越欠損金は使えないということです。

4. 上記1、2、3のいずれかに該当する場合において、買収された会社が自己を被合併法人(消滅会社)とする「適格合併」を行い、または買収された会社の残余財産が確定すること

つまり、合併によって消滅する場合もアウトということです。

5. 買収に基因して、買収される直前の役員のすべてが退任し、かつ、買収の直前に使用人(旧使用人)の総数の20%以上の者が使用人でなくなり、旧使用人が従事しない事業の事業規模が、旧事業の買収直前における事業規模のおおむね5倍を超えること

つまり、従来の事業(M&A前の事業)を継続したとしても、M&Aの後に旧役員の退任、従業員の20%以上の退職・配置転換が行われ、かつ従来の事業の5倍を超える新規事業が行われるようになった場合は、従来の事業による繰越欠損金は使えないということです。

それではどうやって節税できるのか?

逆に言えば、特定の株主によって50%超の株式を直接・間接に保有される場合ではないこと、もしくは従来の事業をほぼ同じ状態で継続するのであれば、従来のように繰越欠損金を利用することは可能です。そのような場合であれば、繰越欠損金を目的とするM&Aであっても実行可能ということでしょう。

繰越欠損金のある会社をM&Aで買収する場合は、その後の状況によって繰越欠損金が利用できるかどうかが変わってくるので、注意する必要があります。繰越欠損金の利用を目的とするM&Aを実行する場合、M&Aと組織再編税制の専門知識が必要となりますので、必ず事業承継に詳しい税理士へ相談するようにしてください。

「事業承継税制の適用要件が緩和されました。」

2013-09-11

不動産相続と事業承継

非上場株式等の事業承継税制については、ドイツ、フランス、イギリスといった主要国において導入されていたことから、我が国においても平成21年の税制改正で創設され、現在に至っています。

この制度は、相続及び贈与にて取得する一定の非上場株式等について、その株式等(発行済み株式の3分の2まで)に係る課税価格の80%(贈与税の場合は全額)に対応する相続税額(又は贈与税額)について納税が猶予される、というものです。

使い勝手が悪く課税リスクが大きい

しかし、制度の導入から4年経ってもその適用件数は549件(相続税381件、贈与税168件)と、期待されていたほど制度は活用されていませんでした。

その理由は、この制度を導入している諸外国と比べてその適用要件が厳しく、また、納税猶予打ち切りに伴う課税リスクが大きいため、その利用に躊躇する企業が多かったからでした。

例えば、フランス、イギリスなどでは、雇用継続要件はありません。ドイツにはありますが、要件を満たさなくなったからといって我が国のように猶予税額全額の打ち切りはありません。

また、猶予税額の免除期間ですが、我が国では後継者が死亡するまでですが、ドイツ、フランスなどは5年程度で猶予税額の全額が免除されます。

さらに、これらの諸外国では、先代経営者の役員継続や親族外承継も認められていますが、我が国では認められていませんでした。

要件が緩和された

そこで、経済界からの強い要望で、平成25年税制改正において適用要件の一部が大幅に緩和されました。その主なものは次のとおりです。

①雇用要件が「5年間毎年8割維持」が「5年間平均8割維持」になりました。

②納税猶予打ち切りリスクであった利子税の負担が、承継5年超で5年間の利子税は免除されました。

③役員退任要件については、贈与時の役員退任を代表者退任とされました。

④親族でない従業員などへの親族外承継も可能とされました。

⑤猶予税額の計算が有利になるよう、個人債務は株式以外の財産から差し引く方法に改められました。

⑥経済産業大臣による事前確認制度は廃止されました。

なお、これら要件緩和は、平成27年1月1日以降の相続税・贈与税から適用されます。

9月20日(金)14:00- FPG主催「事業承継とM&Aセミナー」

2013-09-04

オーナー経営者にとって親族内承継が困難な場合、親族外承継やM&Aなど幅広い選択肢を検討することが求められます。本セミナーでは、事業承継の現状を概観しつつ、事業承継の具体的事例から親族内承継親族外承継M&Aによる特徴を整理してお話しします。

 <第一部>親族内承継のコンサルティング
・事業価値源泉の分析
・株式の生前贈与と譲渡
・株式評価額の引下げ
・持株会社設立による株価上昇の抑制
・組織再編の手法

<第二部>M&Aのコンサルティング
・税理士がM&Aアドバイザーに就くという考え方
・相手探しの方法
・取引スキームの立案とM&A税務
・条件交渉の方法
・譲渡契約書の作成

FPG様

一橋大学大学院商学研究科修士課程修了(経営学及び会計学専攻)
税理士、公認会計士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員

相続税申告、相続生前対策、事業承継のこと、まずはご相談ください。Webからのお問い合わせはこちら

ページの先頭へ戻る

次回セミナー予告

※掲載していないセミナーも多数ございますのでお気軽にお問い合わせください

相続対策完全ガイド

M&Aの最新情報

最新のお知らせ・コラム

事務所概要

事業承継コンサルティング
株式会社

〒103-0027
東京都中央区
日本橋1-7-11
日本橋東ビル6階
TEL:03-3527-9033
受付時間:
平日09:30~18:30

事務所詳細はこちら

岸田康雄の著書

岸田公認会計士税理士事務所のM&Aアドバイザリー業務

相続税申告、相続生前対策、事業承継のこと、まずはご相談ください。03-3527-9033

カテゴリ