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「自社株評価で営業権の計上はROA10%以上」

不動産相続と事業承継

 1. 営業権~「純資産価額」の悩みどころ

自社株(取引相場のない株式)は事業承継の主要なトピックの一つです。この自社株の評価方式の一つに「純資産価額方式」があります。

相続・贈与の際に適用される財産評価基本通達では、優良会社の「純資産価額」の計算に際しては、「営業権」(超過収益力を源泉とするプレミアム)を加味することが要請されています。ただでさえ高額となりがちな「純資産価額」に更なる株価上昇要因を考慮しなければならないのは、相続対策上、頭が痛いところです。

2. 営業権の評価方法(評基通165

財産評価基本通達の営業権は、次の算式により計算されます。

  【算式】 営業権の評価額 =
超過収益力(※) × 営業権の持続年数(10年)に応ずる基準年利率による複利年金現価率
(※) 超過収益力平均利益金額×0.5-標準企業者報酬-総資産価額×0.05
平均利益金額は所得金額に一定の調整をした3期の平均(前年所得を限度)
基準年利率(長期)は国税庁により公表され、平成24年12月現在の利率は年1.0%(複利年金現価率9.471)。平均利益の約9.5倍の資産を純資産価額に加味する必要があるということになります。

3. 一つの目安~「ROA 10%以上」の会社

この営業権評価額の算定には厳密な計算を要しますが、その計上可否の簡易な分岐点として、「ROA(総資産利益率)10%以上」が一つの目安となるかもしれません。

ROAは(営業利益÷総資産)で計算します。すなわち、左記の「超過収益力」の算式の「平均利益金額」に「総資産価額×10%」を代入すると、「平均利益金額×0.5」から「総資産価額×0.05」が控除されるため、超過利益金額はゼロ。したがって、「営業権」は計上されないということなのです(正式には、この総資産価額は「相続税評価額」で計算された価額となります)。

しかし優良企業が優良企業であり続けられる保証は何一つありません。もし該当するようであれば、早めの対策が肝心です。


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一橋大学大学院商学研究科修士課程修了(経営学及び会計学専攻)、監査法人、投資銀行にて多数の事業承継を指導
公認会計士、税理士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員。

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