事業承継コンサルティング株式会社(03-3527-9033)は、事業承継とM&Aを専門としています。株式評価と会社売却のご相談は無料ですので、お気軽にお電話ください。(当社はM&A仲介ではなくアドバイザーです。)

経営者に役立つ企業経営のノウハウや、事業承継の最新情報を分かりやすく解説します。

事業承継における生命保険の活用

事業承継では、先代経営者から後継者に自社株式を引き継がせることになります。後継者が子供でも従業員でも、事業承継に伴う混乱をできる限り抑えなければなりません。

事業承継を円滑に行うためには、自社株式の承継に伴う資金(買取り資金、納税資金)を準備しなければなりません。そのために、法人契約の生命保険(逓増定期保険、長期平準定期保険、終身保険)を活用することができます。また、個人契約の生命保険の活用方法もあります。


誰を後継者にするか、どのように承継させるか

まず、誰に承継させるかということですが、これまで親族内の承継が多数を占めていました。しかし、近年、従業員が内部昇格によって承継するケースや、外部の人が承継するケースが増えてきています。中小企業白書によれば、親族内承継が40%強と最も多いですが、従業員承継も40%弱にまで増えてきており、外部から人を招いて後継者にするケースも10%を超えています。ただ、いずれにしても、結局のところ、後継者の税負担を軽減することが重要です。


子供が後継者である場合に活用できる生命保険

自社株式を子供が承継するときに起こる可能性がある問題は、以下の3つです。


  • 後継者が相続税または贈与税を納税する資金が必要になる
  • 自社株式以外の相続財産が少ない場合、後継者が他の法定相続人から相続分または遺留分を主張され、代償分割を行う可能性がある

特に遺留分については、たとえ先代経営者が「株式の全部を後継者に相続させる」という遺言を残したとしても、排除することはできません。そこで、先代経営者が、後継者である子供の負担を軽くするために、生命保険を活用するのです。


  1. 後継者のために必要な資金を準備する→生命保険(経営者個人加入)
  2. 自社株式の財産評価を引き下げる→逓増定期保険・長期平準定期保険
  3. 会社が後継者から自社株式を買い取る資金を準備する→終身保険・長期平準定期保険(法人保険)

生命保険で納税資金を準備する

後継者が子供であれば、先代経営者が個人契約で生命保険に加入し、受取人を後継者である子供にしておくことができます。注意が必要なのは、子供の配偶者(娘婿など)や、兄弟姉妹の配偶者(2親等の姻族)や、おい・めい(3親等の血族)を後継者とする場合です。生命保険の受取人は2親等内の「血族」までなので、これらの人々は含まれません。どうしても生命保険の受取人になってもらいたい場合は、養子縁組をして「法定血族」になってもらうしかありません。

親等の早見表

後継者が受け取る生命保険金は、民法上は相続財産にあたらないので、他の法定相続人の法定相続分や遺留分の対象になりません。また、生命保険金は相続税法上「みなし相続財産」として相続税の課税対象になりますが、「500万円×法定相続人の数」について相続税の非課税枠があります。

したがって、後継者である子供が、相続した自社株式について、後継者ではない他の相続人から遺留分を主張された場合には、後継者である子供は死亡保険金を使って代償分割を行うことができます。また、生命保険金は相続した自社株式に伴う相続税の納税資金としても大変有効です。


保険料の損金算入で自社株評価を引き下げる

後継者に自社株式を生前贈与しておきたい場合、後継者の税負担を軽減させるために、自社株式の評価を引き下げる必要があります。自社株式の相続税評価で類似業種比準方式を適用している場合、利益が圧縮されれば自社株式の評価が引下げられることになります。

利益を圧縮するには、先代経営者の退職金の資金の準備もかねて逓増定期保険、長期平準定期保険に加入することが考えられます。これらの保険は保険料が高額であり、その1/2を損金に算入することができます。その結果、利益が圧縮され、株式の評価が引下げられることになります。

逓増定期保険と長期平準定期保険の利用条件はそれぞれ以下の通りです。

〈逓増定期保険の利用条件〉


  1. 超高額な保険料を支払える見通しがあること
  2. 引退の時期(=先代経営者が退職金を受け取る時期)が5~10年後に定まっていること
  3. 引退の時期と解約返戻金の受取時期(ピーク)とが同じ年度になるように契約すること

〈長期平準定期保険の利用条件〉


  1. 高額な保険料を支払える見通しがあること
  2. 引退の時期が20~30年後に大まかに定まっていること
  3. 引退の時期と解約返戻金の受取時期(ピーク期間)とが概ね同じタイミングになるように契約すること

逓増定期保険は5~10年後の事業承継を考えている場合の保険

逓増定期保険とは、死亡保険金額が加入時から短期間のうちに当初の5倍程度まで増えていく定期保険を言います。

逓増定期表

死亡保険金は莫大に大きく、最初は1億円からスタートして5億円まで増える商品もあります。また、解約すれば「解約返戻金」を受け取ることができますが、これを退職金の財源に充てることになります。

解約返戻金にはピークがあります。このピークは加入5~10年目くらいです。また、ピーク時の解約返戻金の額は、それまでに支払われた保険料の総額の90%~100%程度に設定されています。つまり、5~10年目という早い時期に保険料総額と同程度の解約返戻金を受け取ることができるのです。そのため、保険料も非常に高額です。

保険料は、一部を損金に算入することが認められています。損金に算入できる割合が1/2、1/3、1/4の3タイプが認められていますが、最も使い勝手が良いのは1/2損金のタイプです。

※逓増定期保険のイメージ

逓増定期イメージ

〈逓増定期保険のメリット〉


  • 5~10年で保険料の1/2を損金に算入しながら退職金を準備できる
  • 保険料が超高額なため、利益の圧縮の効果が大きい
  • 退職金支給時に大きな赤字を計上するリスクを減らすことができる

株価を下げるのに利用するのであれば、逓増定期保険は、保険料の額がきわめて高額なので、利益の圧縮の効果が高いと言えます。また、5~10年という短期間で効果が上がるのも特徴です。

しかも、退職金の支給により多額の損金が出るところを、解約返戻金の受取により益金を計上できるので、大赤字になってしまうのを避けることもできます。

〈逓増定期保険のデメリット〉


  • 超高額な保険料が会社のキャッシュフローを圧迫するリスクが大きい
  • 解約返戻金の受取と退職金支給のタイミングがずれると大幅な黒字を計上してしまうリスクがある

保険料の額が超高額ですので、株価を大きく下げようと高額な契約をすれば、キャッシュフローが悪化して経営を圧迫するおそれがあります。超高額な保険料を5~10年間支払い続けられる自信がないのであれば、他の方法で利益を圧縮するほうが良いでしょう。

また、解約返戻金の受取りによって益金が計上されるため、退職金の支給時期を同じ年度にぴったり合わせて損金を計上しないと、大幅な黒字になり、会社が多額の税金を支払わなければならなくなるリスクもあります。

このように、逓増定期保険は、計画を立ててその通りに利用できればメリットが大きいですが、保険料の負担がかなり大きく、また、解約するタイミングがずれてしまうと会社が高額な税金を納めなければならなくなってしまうリスクがあります。

したがって、逓増定期保険の活用条件は以下の3つということになります。


  1. 高額な保険料を支払える見通しがあること
  2. 引退の時期(=ご自身が退職金を受け取る時期)が定まっていること
  3. 引退の時期と解約返戻金の受取時期(ピーク)とが同じ年度になるように契約すること

長期平準定期保険は20~30年後の事業承継を考えている場合の保険

長期平準定期保険は、保険期間が大変長く、その間の死亡保険金額が変わらない(=平準の)定期保険です。

長期平準の表

経営者の身に万が一のことがあった場合の事業保障のための保険なので、死亡保険金は逓増定期保険ほどではないものの高額で1億円程度になります。そのため、保険料も高額です。保険料は1/2が損金に算入されます。また、解約返戻金のピークは20~30年後のかなり遅い時期に設定されていて、しかも長く続くのが特徴です。

長期平準イメージ

〈長期平準定期保険のメリット〉


  • 20~30年かけて保険料の1/2を損金に算入しながら退職金を準備できる
  • 保険料が高額なため、利益の圧縮の効果が見込める
  • 退職金支給時に大きな赤字を計上するリスクを減らすことができる

長期平準定期保険は、保険料の額が高額なので、利益を圧縮して株価を引き下げるのに役立ちます。また、解約返戻金のピークが加入から20~30年後で、しかもピーク期間が長いことから、引退の年度をきっちりと定める必要はなく、大まかに決めておけば良いというメリットもあります。

さらに、退職金の支給により多額の損金が出るところを、解約返戻金の受取により益金を計上できるので、大赤字になってしまうのを避けることもできます。

〈長期平準定期保険のデメリット〉


  • 高額な保険料が会社のキャッシュフローを圧迫するおそれがある
  • 解約返戻金の受取と退職金支給のタイミングがずれると大幅な黒字を計上してしまうリスクがある

長期平準定期保険の保険料は、逓増定期保険ほどで高額ではありませんが、それでもかなりの高額です。したがって、十分な資金がないとキャッシュフローを悪化させるおそれはあります。長期平準定期保険は、逓増定期保険とくらべて解約返戻金と退職金のタイミングを合わせやすいですが、同じタイミングとすることができなければ、大幅な黒字を計上するリスクがあります。ピーク期間に安心して引退できるように、後継者への社長交代は計画的に進めていく必要があることは言うまでもありません。

したがって、長期平準定期保険の利用条件は以下の通りになります。


  1. 高額な保険料を支払える見通しがあること
  2. 引退の時期が20~30年後に大まかに定まっていること
  3. 引退の時期と解約返戻金の受取時期(ピーク期間)とがだいたい同じタイミングになるように契約すること

終身保険で会社が自社株を買い取り資金を準備する

後継者に自社株式を相続させたいという場合、自社株式の相続の伴う相続税負担が問題となります。つまり、相続税の納税資金が足りなくなるおそれがあります。

そのような場合、会社に自己株式の買取りを行わせて、資金を吸い上げることが効果的です。つまり、会社が後継者から自社株を買い取り、後継者が売却代金を受け取ってそれを相続税の納税資金に充てるのです。これには、会社の側で、自社株式(=自己株式)を買い取る資金を準備しておかなければなりません。そのために、会社が生命保険に法人契約で加入することが考えられます。つまり、先代経営者が死亡した場合、会社が死亡保険金を受け取るようにしておくのです。そうすれば、会社はその資金を、後継者から自己株式を購入する資金に充てることができます。

生命保険の種類としては、終身保険が考えられます。いずれの保険も、解約すれば解約返戻金が受け取れるものです。しかし、自社株式の購入資金として利用する場合は、解約返戻金ではなく、先代経営者が死亡した場合に会社が受け取る死亡保険金です。

両者のメリットとデメリットを簡単にまとめると、以下の通りです。


終身保険とは?

終身保険は、定期保険のような一定期間のみではなく、一生涯、死ぬまで保障が続く保険です。つまり、必ず死亡保険金が支払われることになります。したがって、何があっても確実に会社が保険金を受け取れるようにしたいのであれば、終身保険が向いています。先代経営者がどれほど長生きしても必ず保険金が支払われるからです。ただし、貯蓄性が高い保険なので、保険料は全額が資産に計上されることになります。したがって、支払保険料で利益を圧縮するようなことは一切できません。


事業承継に生命保険を活用する際には税理士の支援を

事業承継のために自社株式を後継者へ引き継がせる際、税負担と買い取り資金が問題となりますが、その生前対策として生命保険が有効です。事業承継や相続生前対策のために生命保険を加入する際は、法人及び個人の所得税・法人税に与える影響、贈与税・相続税の増減、自社株式の評価が不可欠です。その際、必ず事業承継に詳しい税理士のアドバイスを求めるようにしましょう。事業承継コンサルティング株式会社へご相談ください。

 


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一橋大学大学院商学研究科修士課程修了(経営学及び会計学専攻)、監査法人、投資銀行にて多数の事業承継を指導
公認会計士、税理士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員。

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