「価値喪失株式のみなし譲渡損の扱い変更」

2013-07-04

公認会計士,税理士,相続

価値喪失特定管理株式の上場廃止手順


上場株式の上場廃止には手順があり、上場廃止の可能性が出てくると、監理銘柄となり、さらに上場廃止が確定すると整理銘柄となり、原則として1か月後に上場廃止されます。監理銘柄になっても、すぐ解除になるものもあります。オリンパス、大王製紙などがその例です。

価値喪失特定管理株式と証券会社

株主の保有する株式は、証券会社においては、上場廃止により特定口座から「特定管理口座」(上場廃止後の株式を保管する口座)に移管されます。その後倒産等が確定し、清算結了となり、あるいは、日本航空のように100%減資が実施されると、その株式の無価値化が確定します。そうすると、証券会社はその元株主の顧客に「価値喪失株式に係る証明書」を交付します。

価値喪失特定管理株式と税務手続き

「価値喪失株式に係る証明書」は、その交付に係る年分の確定所得申告書に添付することにより、価値喪失株式の取得価額相当額を株式譲渡損とみなし、他の株式等の譲渡益と相殺することができる特例制度を使えます。

上場株式の譲渡損失については、配当所得との損益通算及び株式譲渡損失の3年間の繰越控除の規定の適用があります。この点、整理銘柄になって1円の株価になったところで売却した株主の譲渡損も、上場株式の譲渡損であることに変わりないので、配当所得との損益通算及び譲渡損失の3年間繰越控除の規定の適用があります。

従来の取扱い

従来は、価値喪失株式の損失は株式譲渡損とみなされるものの、配当との通算、3年繰越控除の規定の適用はありませんでした。その理由は、特定管理口座株式は、すでに上場廃止となった株式なので、非上場株式に分類され、そして、生じたとみなされた譲渡損失は、非上場株式の譲渡により生じた損失ということになり、上場株式への特典を享受できなかったからです。

非上場の価値喪失株式は上場株式と同等の取り扱い

今年の税制改正で、価値喪失特定管理株式に係る価値喪失損について、上場株式配当との通算、株式譲渡損失3年繰越控除の規定の適用が受けられるようになりました上場株式の痕跡を残すものは、とことん上場株式の仲間として遇する姿勢に転換したからです

一橋大学大学院商学研究科修士課程修了(経営学及び会計学専攻)
税理士、公認会計士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員

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