M&Aに伴い同族株主間が株式を譲渡する場合の株価

2013-06-30

M&Aの実行に伴って、複数のグループ会社の組織再編を行うケースが多く見られます。株式譲渡や事業譲渡もあれば、非適格の組織再編のケースもあります。いずれにせよ、同族株主の間で株式を譲渡する場合、その株価が問題となります。

第三者間で株式譲渡を行う場合は、「株式の時価」が取引価額となり、売主と買主の交渉により決定した金額が取引価額となります。そして、この場合の非上場株式の時価は、当事者間で決定した取引価額となります。

しかし、非上場株式には取引相場がなく客観的な時価が把握できないことに加えて、同族株主間ではそもそも価格交渉できないという問題点があります。このため、非上場株式の売買においては、相続税、法人税および所得税の計算上用いられる評価方法に基づいた株式評価を行なって取引価額を決定することが一般的です。

当事者が個人の場合、相続税評価額によって株式を評価します。

これに対して、当事者が「法人」の場合、法人税法における非上場株式の評価は、基本的には相続税評価を準用しながら、それに次の3つの条件を加味して株式評価を行います。

1. 株式を取得する法人および株式を売却する個人がいずれも「中心的な同族株主」に該当する場合は、会社規模は小会社(折衷割合0.5)として評価すること

2. 純資産価額方式による評価計算においては、会社所有の土地や上場株式の評価を時価によること

3. 純資産価額方式による評価計算においては、評価差額に対する法人税相当額の控除をしないこと

実務上は中心的な同族株主に該当するか否かに関係なくL=0.5、すなわち、類似業種比準価額×0.5 + 純資産価額×0.5 で計算します。

親族外事業承継の方法としてM&Aを活用する事例が増えていますが、M&A株価と税務上の株価は異なりますので、自社株評価を行う際にはその点を注意しなければなりません。

事業承継のための自社株対策(4)「純資産価額を引下げる」

2013-06-29

事業承継対策として株価を引下げる手段を考えましょう。

純資産価額を引下げるための方法として、最も効果的な方法は、賃貸不動産の取得です。例えば、銀行借入れによって賃貸マンション、賃貸オフィス、商業ビルなどの収益物件を取得します。ただし、いつでも売却できるような優良な収益物件を取得し、再び現金化できるようにします。

賃貸不動産を取得した場合、土地は「貸家建付地」による評価、建物は「貸家」による評価となります。すなわち、貸家建付地の相続税評価額は時価の60%~70%程度(自用地の概ね8割)、貸家の相続税評価額は取得価額の30%~40%%程度(自己所有の7割)ですから、賃貸不動産の評価は、時価を大きく下回る相続税評価額となります。

弊社のアドバイス実績では、2億円の現預金を賃貸不動産の取得に充てて、相続税評価額を1億円まで下げた事例や、5億円の現預金を賃貸不動産の取得に充てて、相続税評価額を2億円まで下げた事例があります。このように優良な収益物件の時価と相続税評価額には相当大きな乖離があります

そこで、オーナー経営者が自社株を後継者に生前贈与又は売却する際に、賃貸不動産を活用した株価引下げを実行するのです。株価を引下げたタイミングで後継者に贈与等を実行し、その後、賃貸不動産を売却すれば、また現預金が戻ってきます

ただし、株式評価において、課税時期から3年以内に取得した不動産は「取得価額」等で評価しなければなりません。それゆえ、賃貸不動産を活用した株価引下げ対策を実行する場合には、生前贈与の最低3年前に賃貸不動産を取得する必要があることには注意しておきましょう。

一橋大学大学院商学研究科修士課程修了(経営学及び会計学専攻)
税理士、公認会計士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員

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