事業承継のための自社株対策(4)「純資産価額を引下げる」

2013-06-29

事業承継対策として株価を引下げる手段を考えましょう。

純資産価額を引下げるための方法として、最も効果的な方法は、賃貸不動産の取得です。例えば、銀行借入れによって賃貸マンション、賃貸オフィス、商業ビルなどの収益物件を取得します。ただし、いつでも売却できるような優良な収益物件を取得し、再び現金化できるようにします。

賃貸不動産を取得した場合、土地は「貸家建付地」による評価、建物は「貸家」による評価となります。すなわち、貸家建付地の相続税評価額は時価の60%~70%程度(自用地の概ね8割)、貸家の相続税評価額は取得価額の30%~40%%程度(自己所有の7割)ですから、賃貸不動産の評価は、時価を大きく下回る相続税評価額となります。

弊社のアドバイス実績では、2億円の現預金を賃貸不動産の取得に充てて、相続税評価額を1億円まで下げた事例や、5億円の現預金を賃貸不動産の取得に充てて、相続税評価額を2億円まで下げた事例があります。このように優良な収益物件の時価と相続税評価額には相当大きな乖離があります

そこで、オーナー経営者が自社株を後継者に生前贈与又は売却する際に、賃貸不動産を活用した株価引下げを実行するのです。株価を引下げたタイミングで後継者に贈与等を実行し、その後、賃貸不動産を売却すれば、また現預金が戻ってきます

ただし、株式評価において、課税時期から3年以内に取得した不動産は「取得価額」等で評価しなければなりません。それゆえ、賃貸不動産を活用した株価引下げ対策を実行する場合には、生前贈与の最低3年前に賃貸不動産を取得する必要があることには注意しておきましょう。

「自社株評価で営業権の計上はROA10%以上」

2013-06-26

不動産相続と事業承継

 1. 営業権~「純資産価額」の悩みどころ

自社株(取引相場のない株式)は事業承継の主要なトピックの一つです。この自社株の評価方式の一つに「純資産価額方式」があります。

相続・贈与の際に適用される財産評価基本通達では、優良会社の「純資産価額」の計算に際しては、「営業権」(超過収益力を源泉とするプレミアム)を加味することが要請されています。ただでさえ高額となりがちな「純資産価額」に更なる株価上昇要因を考慮しなければならないのは、相続対策上、頭が痛いところです。

2. 営業権の評価方法(評基通165

財産評価基本通達の営業権は、次の算式により計算されます。

  【算式】 営業権の評価額 =
超過収益力(※) × 営業権の持続年数(10年)に応ずる基準年利率による複利年金現価率
(※) 超過収益力平均利益金額×0.5-標準企業者報酬-総資産価額×0.05
平均利益金額は所得金額に一定の調整をした3期の平均(前年所得を限度)
基準年利率(長期)は国税庁により公表され、平成24年12月現在の利率は年1.0%(複利年金現価率9.471)。平均利益の約9.5倍の資産を純資産価額に加味する必要があるということになります。

3. 一つの目安~「ROA 10%以上」の会社

この営業権評価額の算定には厳密な計算を要しますが、その計上可否の簡易な分岐点として、「ROA(総資産利益率)10%以上」が一つの目安となるかもしれません。

ROAは(営業利益÷総資産)で計算します。すなわち、左記の「超過収益力」の算式の「平均利益金額」に「総資産価額×10%」を代入すると、「平均利益金額×0.5」から「総資産価額×0.05」が控除されるため、超過利益金額はゼロ。したがって、「営業権」は計上されないということなのです(正式には、この総資産価額は「相続税評価額」で計算された価額となります)。

しかし優良企業が優良企業であり続けられる保証は何一つありません。もし該当するようであれば、早めの対策が肝心です。

純資産価額方式による非上場株式の評価

2013-06-23

純資産価額方式は、課税時期における各資産及び負債を時価(相続税評価額)によって評価し、算出された純資産価額を発行済株式数で除して1株当たりの株式の評価額を計算する方法です。

具体的には、次の算式のとおり、資産の相続税評価額から、負債の相続税評価額および資産の含み益に対する法人税額等相当額を差し引いて、評価会社の株式価額を求めます。

非上場,株式,純資産価額


(注)評価差額に対する法人税額等相当額とは、課税時期に発行会社が清算した場合に課せられる法人税等に相当する金額です。具体的には、相続税評価額による純資産価額(総資産価額-負債金額)と帳簿価額による純資産価額の差額に42%を乗じて計算した金額をいいます。


(注)発行済株式数は、直前期末ではなく課税時期現在のものであり、また、1株50円換算ではなく実際の株式数です。

各勘定科目における注意点は以下の通りです。

■ 帳簿価額は、会計上の簿価ではなく税務上の簿価を使います。したがって、別表五(一)の加算・減算項目に注意します。


■ オフバランスになっている生命保険金借地権や営業権等については、帳簿価額がゼロであっても、相続税評価額が算出される場合にはそれを資産として認識します。

 繰延資産前払費用繰延税金資産等については、財産性がないため帳簿価額をゼロとします。

■ 引当金(貸倒引当金、賞与引当金等)は、確定した債務ではないので負債としての帳簿価額はゼロとします。

■ オフバランスになっている未納租税公課(固定資産税)、確定した死亡退職金については負債として認識します。

 課税時期開始前3年以内に取得または新築した土地等・家屋等の価額は、課税時期における通常の取引価額相当額(帳簿価額が通常の取引価額に該当する場合は帳簿価額)で評価します。

■ 評価会社が他社の非上場株式を所有している場合、当該非上場株式の評価における純資産価額算定上、評価差額に対する法人税等は控除しません。

一橋大学大学院商学研究科修士課程修了(経営学及び会計学専攻)
税理士、公認会計士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員

相続税申告、相続生前対策、事業承継のこと、まずはご相談ください。Webからのお問い合わせはこちら

ページの先頭へ戻る

次回セミナー予告

※掲載していないセミナーも多数ございますのでお気軽にお問い合わせください

相続対策完全ガイド

M&Aの最新情報

最新のお知らせ・コラム

事務所概要

事業承継コンサルティング
株式会社

〒103-0027
東京都中央区
日本橋1-7-11
日本橋東ビル6階
TEL:03-3527-9033
受付時間:
平日09:30~18:30

事務所詳細はこちら

岸田康雄の著書

岸田公認会計士税理士事務所のM&Aアドバイザリー業務

相続税申告、相続生前対策、事業承継のこと、まずはご相談ください。03-3527-9033

カテゴリ