かながわ地域創業スクール「第二創業(事業承継)」の講師を担当します。

2015-08-06

横浜中小企業診断士会

かながわ地域創業スクール「第二創業(事業承継)」の講師を担当します。受託されているのは、横浜中小企業診断士会です。私が事業承継のクラスを担当しますが、受講料は全6回コースで破格の5,400円!(国が税金で負担?)のようですので、お得だと思います。
【お申し込みはこちらへ】
http://www.yrmc.jp/

事業承継スキルアップセミナーの講義ビデオ

2015-07-20

テーマは、事業承継をお客様にアドバイスする際のコンサルティング業務の基本です。

【小黒先生②】



【村上先生②】

そもそも事業承継とは何か、振り返ってみよう

2015-07-18

事業承継とは何か

事業承継は、自分が経営する事業を、引退に伴い後継者に引き継ぐことです。会社経営者であれば、保有する株式を後継者へ引き継がせ、会社の経営権を譲ることです。この際、後継者に株式を引き継がせる際に、無償であれば相続税又は贈与税が課されます(有償で売却益が出る場合は所得税が課されます。)。子供が後継者として未熟な場合には、まず後継者として育成しなければなりません。また、子供が後継者として成長している場合には、事業の引継ぎに伴う混乱を抑えるよう、社長業の引継ぎ、社長を支える社内体制の構築を行われるようにしなければなりません。


後継者の育成には時間を要する

中小企業の場合、これまでは子供などの親族が後継者になることが一般的でした。しかし、今日では、職業の多様化や職業に対する意識自体の変化に伴い、必ずしも親族が後継者になるとは限らなくなりました。子供がいない家庭も増えています。そんな中で、従業員を内部昇格させて後継者にしたり、外部から招いた人物を後継者にしたりするケースが次第に増えてきています。

〈形態別の事業承継の推移〉※中小企業庁「中小企業白書2014」より

形態別の事業承継の推移(中小企業白書2014より)

しかし、中には、後継者が見つからず、自分の引退とともに廃業に追い込まれるケースもあります。そして、今後少子化が進んでいくと、後継者が見つからないというケースがますます増えていくことが予想されます。せっかく続けてきた事業を後継者に引き継ぎたくても引き継ぐことができないという状態は、社会的な価値の喪失をもたらしています。

しかも、運よく後継者にしたい人物が見つかり、その人物もその気になってくれたとしても、その人物が本当に後継者になれるかは別問題です。その人物が後継者にふさわしい能力を備えているとは限りませんし、自分と同じように従業員や取引先、銀行等との信頼関係を築けるとは限りません。つまり、事業承継の前に後継者の育成が必要となり、そのためにある程度の時間とノウハウが必要です。


事業承継に伴うリスクと対処方法

後継者が見つかり育成できたとしても、後継者への株式承継、経営承継にはいくつかのリスクが伴います。例えば、

・子供を後継者とした場合、後継者に承継させた自社株式について、後継者ではない子供(相続人)が遺留分を主張してくるリスクがある

・従業員を後継者とした場合、サラリーマン従業員に資金力が乏しいため融資を受けることができず、株式を買取ることができない

・株式の生前贈与に伴う贈与税、相続に伴う相続税の負担が重い

以下では、それらに対処するための手段を紹介します。


後継者ではない相続人からの遺留分の主張

遺留分とは何か

例えば、被相続人が遺言で遺産の全てをアカの他人にあげてしまったとします。そうすると、本来相続できたはずの法定相続人が、遺産がもらえないことになってしまいます。そんな場合に、法定相続人が本来の自分の取り分(法定相続分)のうち一部だけ、自分のものだと主張することができます。これが遺留分です。遺留分は、配偶者・子どもならば法定相続分の1/2、親・祖父母ならば法定相続分の1/3です。

後継者が自社株式を相続した場合、後継者ではない遺族が「遺留分」を主張してくる可能性があります。その場合には、後継者は、それらの遺族に対して遺留分に相当する現金を支払わなければならなくなります。


相続される自社株式を遺留分の計算から除く方法

後継者は、先代経営者が生きているうちに、遺留分をもつ人(遺留分権利者)全員との間で、相続の対象となる自社株式を遺留分の計算から除くという合意をすることができます。

ただし、後継者は経済産業大臣の「確認」を受ける必要があります。

また、本来の相続人の遺留分が少なくなってしまうので、家庭裁判所の許可が必要です。

遺留分権利者との合意

この手続を済ませておけば、後継者が引き継いだ事業用財産・株式について遺族が遺留分を主張してくることはなくなります。

ただ、遺留分権利者全員の同意が得られないことも考えられます。そのような場合には、「日本政策金融公庫法・沖縄振興開発金融公庫法の特例」の利用が考えられます。また、生命保険を利用して資金を準備することが考えられます。これは後で説明します。


「日本政策金融公庫法の特例」を利用して融資を受ける

「日本政策金融公庫法の特例」は、後継者個人が融資を受けられるものです。つまり、後継者の以下のような資金ニーズに対応することができます。


  • 自社株式の買い取り資金
  • 遺留分を主張してきた後継者ではない遺族への支払いのための資金
  • 自社株式についての相続税・贈与税を納税するための資金

これらの資金を「日本政策金融公庫」から低利率で融資してもらえるというものです。この特例の利用についても、経済産業大臣の認定を受けることが必要です。


生命保険で各種資金を準備する

これらの資金を生前の早い段階から会社が準備することができれば理想的です。そこで、子供を後継者にする場合には、これらの資金の準備のために生命保険(終身保険)を利用するという方法が効果的です。すなわち、経営者が生命保険の被保険者となり、死亡保険金の受取人を後継者にしておくのです。そうすれば、経営者の死亡時に後継者が死亡保険金を受け取り、それを後継者ではない相続人への支払い、相続税・贈与税の納税に充てることができます。


自社株式の贈与税に係る納税猶予制度

後継者は、旧経営者から自社株式を相続した場合は相続税を支払わなければなりません。また、旧経営者から生前に自社株式を譲り受けた場合は贈与税を支払わなければなりません。これらはいずれも重い税負担を伴います。そこで、中小企業の非上場株式については、納税猶予制度が設けられています。後継者が旧経営者の親族でなくても構いません。

重要な条件は以下の3つです。


  • 事業承継後5年間にわたり平均で承継前の80%の雇用を維持すること
  • 事業承継と同時に旧経営者が「代表」を退くこと
  • 経済産業大臣の「認定」を受けること

まとめ

事業承継には、まず、後継者を見つけ、育成する必要があります。これには時間がかかり、ノウハウも必要なので、お困りの場合には専門家に相談することをお勧めします。当社(事業承継コンサルティング株式会社)では経験豊富な中小企業診断士が経営承継と後継者育成のアドバイスを行っておりますので、ぜひご相談ください。

また、後継者がいない場合にはM&Aを考えなければなりません。当社(事業承継コンサルティング株式会社)はM&Aの支援も行っておりますので、ぜひお電話ください(03-3527-9033)。

事業承継は、どの企業もいつかは必ず直面する問題です。会社の永続的な成長・発展を実現するために、早めの対策を講じていただければと考えております。ぜひ無料相談にお越しください。
http://kishida-cpa.main.jp/
事業承継コンサルティング株式会社

事業承継のために自社株の評価を下げる方法

2015-07-11

自社株式を後継者へ生前贈与する場合、評価をなるべく低くして、税負担を抑えたいと考えます。

非上場株式の評価は、国税庁の財産評価基本通達の「取引相場のない株式等の評価」に基づいて評価します。

【1】会社規模を変えることで自社株式の評価も変わる

非上場株式の評価は、会社の規模(売上高、総資産、従業員数によって区分)によって定められていますが、一般的に規模の小さな会社よりも、規模の大きな会社に適用する評価基準の方が、類似業種比準価額の適用割合が高くなり、評価額が低くなる傾向があります。従業員数100人以上の場合は、常に「大会社」に該当します。従業員数が100人未満の場合には、業種別の会社規模判定表に当てはめて「会社規模」を求めます。

【2】利益を圧縮する

類似業種比準価額方式で自社株式を評価する場合、株価を下げる方法として効果的なのが、利益金額を下げることです。

例えば、
・ 社長退任時に、法人税法の損金算入限度額の範囲で、役員退職金を支給する。
・ 損金算入することができる生命保険契約(長期平準定期保険、逓増定期保険、短期定期保険など)に加入する。

・ 会社を分割し、利益を分散させ、一株当たりの利益を減らす。
・ 高収益事業を後継者の会社へ事業譲渡する。

また、利益のほかに純資産を下げることも効果があります。
・ 不良在庫や回収の見込みのない債権を処分する。
・ 含み損のある有価証券や不動産を処分する。

さらに、評価が純資産価額方式の場合、純資産を減らすことが自社株の評価減につながりますので、不動産投資を行うことも有効な方法です。

・ 借入金で土地・建物を購入し、不動産の相続税評価と借入金の金額の差額だけ、純資産評価を引き下げる。
・ 後継者を被保険者にした保険契約を結び、保険料を借入金で払うことで、純資産額を引き下げる。

事業承継のために企業オーナーが保有株式数を減らす方法

2015-07-11

自社株の評価は「1株あたりの株価×株数」で決まりますので、相続発生までに株式数を減らしておくことは、相続財産を減らす上で最も有効です。

(1)暦年贈与の110万円基礎控除の活用

贈与税の基礎控除は、受贈者が何人いても、何年でも年間110万円までは非課税です。長期にわたってコツコツと自社株式を贈与することで、相続財産を減らすことができます。早めに後継者を決め、10年かけて毎年110万円ずつ自社株式を贈与してみると、合計で1,100万円を非課税で後継者に贈与することができます。
※相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象となります。

(2)相続時精算課税制度の適用

相続時精算課税制度は、若い世代への資産移転を推し進める課税制度です。贈与時には贈与税を軽減することで、早期の資産の移転を促進し、相続発生時に贈与分を含めて相続税を計算する制度となります。生前贈与で自社株式を渡すことが可能となるため、事業承継をスムースに行えるメリットがありますが、しかしながら、一度この制度を選択した場合、二度と暦年課税に戻せないというデメリットもあります。さらに、財産の移転にコストがかかる(不動産の贈与の場合には、登録免許税や不動産取得税等)こともあるため、相続時精算課税制度を活用するかどうかは、必ず島津会計税理士法人(03-3527-9981)に相談するようにしてください。

主なメリット

 財産の値上がり益
贈与時より相続時にその財産が値上りしている場合は、贈与時の低い価格となり有利になります。

 将来の、相続税が発生しないような場合は、2,500万円以内なら、無税で財産を贈与できます。

 将来の、相続税が発生する場合でも、2,500万円以内なら、贈与時に、贈与税を払わずに、財産を贈与できます。(将来の相続のときに相続税を払います。) 


主なデメリット

 一度「相続時精算課税制度」を選択すると、贈与者が亡くなる迄この制度が継続されます(暦年課税に戻ることはできないため、毎年110万円の非課税枠を利用することが出来なくなります)。

 財産の値下がり分
 贈与時より相続時にその財産が値下がりしている場合は、贈与時の高い価格で計算されるので不利になります。

 財産の移転にコストがかかる
(不動産の贈与の場合には、登録免許税や不動産取得税等)。


(3)従業員持株会の設立

100%に近い自社株を保有しているオーナー社長の場合、「従業員持ち株会」をつくって株式を譲渡すると、事業承継時の節税対策になります。経営権に影響しない程度の株数を従業員持株会に譲渡し、従業員に株式を売却する(保有させる)ことで、株式を社外に流出させずにオーナーの相続財産を減らすことができます。自社株のうち経営上必要欠くべからざる株数はオーナー一族が所有し、経営権に影響がなく相続税の課税上オーナーが所有していると負担が重い部分のみを従業員持株会に渡してしまおうというわけです。

しかしながら、オーナーの経営権・支配権にも影響を与えますので
 持株会の持株比率は10%程度に抑える
 持株会の株式は無議決権株式とする
 従業員の退職時には会社が株を買い戻すようにする
などの対策を従業員持ち株会の規約の中で、明記するようにしましょう。

事業承継の必要性とその対策

2015-07-09

1.なぜ事業承継の準備が必要なのか

今後も進む高齢社会の下で、中小企業の経営者の平均年齢は60歳(図表1)と、特に年々高齢化が進む資本金5,000万円未満の企業の経営者が平均を押し上げ、30年前に比べて約8歳上昇しています。

図表1:資本金規模別の会社代表者平均年齢の推移

中小企業の経営者が高齢化する一方で、後継者の確保が益々困難になってきており、中小企業の廃業が年間29万社あるなかで、後継者不在を理由とする廃業は7万社に上っています。

主な事業承継の形態としては、同族への承継、内部昇格、外部からの招聘、及びM&Aが挙げられます。日本では、中小企業の多くが同族会社とされており、2003年の調査では20年以上前は親族内承継が8割を占めていました。

図表2:先代経営者との関係の変化

しかしながら調査時点では、その他の親族を含めても親族内承継は約6割に減少しており(図表2)、自分の子の意に反して、親族内の後継者確保は年々困難になってきているといえます。

多くの中小企業では、オーナー社長が自社株式の大半や事業用資産を保有し、強いリーダーシップを発揮しながら会社を経営しています。そのような経営状態の中、準備が不十分な状態でいざ事業承継となった場合には、親族間の相続問題の発生や、取引先、金融機関、幹部社員や従業員などのステークホルダーとの信頼関係ができていない、経営ノウハウなどが後継者へ十分に伝わっていない、あるいは相続税等の負担・自社株式・事業用資産の取得等に必要な資金が用意できないなど、様々な問題が生じて事業の継続を断念せざるを得ない事態も生じかねません。

中小企業は、社長個人の信用力に因るところが大きく、高い技術力や優れたサービスに基づく競争力があるにも係わらず、スムーズな事業承継ができずに廃業にするケースが多く見られます。

近年は積極的なM&Aによる会社の売却も選択肢の一つとして考えられるようになってきましたが、望まずして売却することとならぬためにも大切な会社の将来を見据え、円滑な事業承継のための様々な準備を計画的に行っていく必要があります。

2.何を事業承継するのか

では何を誰に、どのように承継していけば良いのでしょうか。事業承継は、現経営者から後継者へ、企業が培ってきた様々な財産を引き継ぐことによって事業のバトンタッチを行うことです。事業承継は、「ヒト」の承継と「資産」の承継の2つに大別されます。「ヒト」の承継では、事業を継続するために必要な業務知識や経験、人脈、リーダーシップなどの経営ノウハウに加え、現経営者の経営に対する想いや信条、価値観などに基づいた経営理念という無形の財産を伝えていくことが大切です。「ヒト」の継承は、単に後継者を決めることに留まらず、経営者としての資質、能力、マインドなどを承継することが目的となります。

一方「資産」の継承は経営権、支配権の確保を目的としており、自社株や不動産などの事業用資産の承継が主となります。多くの中小企業では、オーナーの個人資産が少なからず投入されていることが多く、経営者による大半の自社株式所有や土地などの個人資産を事業の用に供しているなど、企業の所有権と経営権の分離が困難なケースが多く見受けられます。

そしてこのことが、親族間の財産分与という問題を顕在化させる大きな要因となります。親族の一人を後継者とした場合、他の相続人の権利によって相当程度の財産が分散してしまう可能性があり、後継者以外への自社株式や土地などの資産の分散を防ぐためには、多額の現金資産などを用意し、代わりに相続させることが必要となります。

また相続人間の争いが発生せずに後継者一人が承継した場合でも、多額の相続税が課されることも考えられます。更に、経営者が金融機関と締結している個人保証や担保提供は、後継者が事業承継を考えるに当たって大きな負担になることが多く、大きなリスクを承知で引き受けるに値する動機付けと経営へのコミットが必要となってきます。

このように、スムーズな事業承継を行うためには、後継者の育成に早期から計画的に取り組むことと、多額の資金調達が必要となる自社株式や事業用資産の買い取りや相続税の納税資金などのために事前に必要な資金を確保すること、などが重要となります。

3.後継者の経営支配権の維持・確立

承継後の経営を安定させ、迅速な意思決定を可能とするためには、後継者及び友好的な株主へ自社株式を集中させること、及び不動産等の事業用資産を自由に利用・処分できることが重要となります(図1)。

図1

自社株式の集中は、議決権の相当の割合(株主総会で経営の重要事項を決議できる3分の2以上)を保有することであり、これは買収リスクなどに備えるためにも重要となります。不動産等の事業用資産は、その大半が経営者自身による所有となっており、経営権と所有権が一致しているケースが非常に多くなっています。そのため、事業用資産が引き続き事業の用に供される場合には、親族間の分割相続によって資産を分散させないよう対策が求められます。

また、事業承継には税金対策も極めて重要な課題となってきます。スムーズな承継によって後継者が安定して経営できるよう、事業と経営支配権を維持した上でどのように節税をするかという視点も欠かすことができません。

これらを踏まえ、かつ後継者以外の相続人への配慮を持って円滑な承継を行うため、親族内承継の場合について3つの視点から考えてみます。


(1)生前贈与、遺言

生前贈与は、経営者の生存中に権利の移転が実現し、自社株式を譲り受けた後継者の地位が安定するため、非常に有効な方法と考えられます。しかしながら、自社株式や事業用資産の後継者への集中は、民法上他の相続人の権利によって制限を受けることとなります。

相続人が複数の場合、他の相続人の遺留分(※)を侵害する原因となって相続人間の争いを引き起こし、事業用の財産の分散によって事業承継に大きなマイナス要因となる可能性があります。そのため、財産分配方針を決定した上で計画的にすすめていくことが必要となります。
※ 兄弟姉妹以外の相続人に対して、最低限度の資産継承を保障する制度

一方遺言は法定相続に優先するため、遺留分に留意すれば相続争いや遺産分割協議を避け、自社株式や事業用資産を後継者へ集中させることが可能です。しかしながら遺言はいつでも撤回可能なため、生前贈与と比較して後継者の地位が不安定となる可能性もあります。

また税制面では、それぞれの状況に応じて各種制度の税負担や適用要件を比較し選択することとなりますが、生前贈与の場合、相続税と比較すると高額な課税がなされることが一般的です。貢献に見合った財産を与える場合は、贈与や遺言ではなく会社の報酬として与えることも有効な方法です。これは贈与に該当せず、他の相続人の遺留分を侵害するという事態も発生しないためです。


(2)会社や後継者による自社株式の買取り

承継時点において役員や従業員などに株式が分散している場合、可能な限り買取りを実施して株式を集約させる場合があります。後継者の経営支配権を確保するためであり、将来的に当該株主と会社との関係が希薄化していき、経営に何らかの障害が生じる可能性を未然に防ぐことが期待できます。

また、現経営者には協力的だった株主が後継者に交代した以後は非協力的となり、経営の意思決定がスムーズにいかなくなることも考えられます。この場合、後継者の持株比率を高める必要がありますが、後継者自身または会社が株主と交渉して自社株式を買取る方法と、会社が新株を発行して後継者にのみ割り当てる方法があります。経営支配権を確実なものとするためには、後継者個人による買取りがより望ましいといえますが、多額の株式買取り資金の工面が困難な場合などは、会社が買取ることとなります。


(3)会社法の活用

株式の集中による経営支配権の確保も重要ですが、現在の株式の分散を阻止する措置を講じておくことも同様に重要となります。具体的には以下のとおりです。

・株式の譲渡制限を設ける
・相続人に対する売り渡し請求を行う
・種類株式<議決権制限株式(※1)、拒否権付株式(※2)>の活用


  • ※1 後継者には議決権のある株式を、議決権が制限される株式を後継者以外の相続人に割り当てることによって経営権の集中を図ります。
  • ※2 自社株式の大半を後継者に譲渡することで後継者に議決権が集中しますが、経営に不安が残るため、けん制する余地を残したい場合などに発行します。強い効力を持つ株式のため、後継者以外に渡らぬよう遺言で後継者に相続させるなどの配慮が必要となります。

上述は親族内継承時の視点となりますが、現状は約4割の中小企業が役員や従業員など親族外から後継者を選出しており、オーナー社長に親族の後継者がいない場合などは社内関係者から後継者候補を探すことがその典型といえます。この場合、後継者による株式取得資金が不足するケースや、金融機関からの借入に対する現経営者の個人保証の取り扱いなどの課題が見受けられます。

金融機関は、現経営者の個人資産だけでなく経営力も評価して融資を行うため、経営者が交替したからと言って連帯保証が解除される訳ではなく、現経営者による個人保証に後継者を加えるよう求められることが通常です。そのため債務の圧縮を図ることが重要となりますが、個人保証を完全に解除することは困難といえます。金融機関との交渉を根強く継続することに加え、後継者の負担に見合った報酬を確保するなどの配慮が必要とされます。

このほか、後継者の能力や事業の将来性を担保とし、金融機関からの融資や投資会社からの出資を受ける、あるいは事業を承継する会社の経営陣が株式を取得して経営権を取得するMBO(マネジメント・バイ・アウト)などの方法もあります。あるいは後継者が見つからない場合などは、会社そのものを第三者に売却するM&Aも選択肢の一つです。


 

事業承継の4つの方向性

2015-07-09

事業承継の難易度

事業承継の難易度



企業オーナーの事業承継は、以下の4つの方向に向かいます。

第一は、親族内承継です。これは、オーナーが心情的に望んでいる方向であり、相続において事業用資産と実質的に個人資産が一体化している中小企業にとっては最も自然な資産承継です。この場合、後継者の教育をどのように行うか、自社株式や事業用資産を後継者に集中させることができるか、納税資金を確保することができるかどうかが問題となります。しかし、後継者と想定している子供が経営者になることを望まない場合に問題となります。

親族内承継の場合、株式は相続人に対する相続又は生前贈与によって移転されることになりますので、遺産分割対策と納税資金対策が完了することができれば株式承継を実現することができます。

第二に、親族外の役員・従業員への売却(MBO)です。これは、後継候補者となった役員等が、企業オーナーから株式を取得し、資産と経営を承継する方法です。昨今、子供が企業経営に関心を持たないケースが増えてきており、親族内での事業承継が困難になってきています。そのような場合、事業承継は親族外の方向へ進むしかありません。

親族外承継を社会的な観点から見れば、企業経営者としての意欲や能力の乏しい子供が承継する場合よりも、広い範囲から適切な経営者を選ぶほうが好ましく、自社で働いた経験が乏しい子供よりも、長年勤務してきた役員や従業員のほうが、事業内容を深く理解している点において望ましい方法だといえます。

この際、後継者が親族でない点に対する配慮が必要となります。また、親族外への事業承継は、実質的に第三者による「企業買収」となりますので、株式を買取るための資金調達、オーナー個人が所有する事業用資産や個人保証・担保の引継ぎが難しい問題となります。

第三に、「所有と経営の分離」という方向性です。上述のように親族外の役員・従業員が承継する場合、資金調達や信用引継ぎの問題が伴うため、会社支配権を確保するために必要な株式を取得することができない場合があります。そのような場合、引き続き創業オーナー(又はその親族)が支配株主の座に留まり、企業経営は役員・従業員等に委ねる体制を採ることが可能です。すなわち、株式承継を親族内、経営承継を親族外として、所有と経営を分離させて事業承継を行うということです。

しかし、このような形で事業承継を行うと、経営を行わない企業オーナーが、事業リスクを負担しなければなります。第三者による経営によって自社が破綻すれば、保有する株式の価値がゼロになってしまうことは大きなリスクでしょう。反対に、親族外の経営者は、企業オーナー(株主)一族の意向に逆らえない状況となるため、意思決定の機動性が阻害されてしまうことになるでしょう。また、経営者がどれだけ経営努力を行っても、雇われサラリーマンであるかぎり、利益の分配を受けることができないことから、働くモチベーションが上がらないことにも問題となります。

所有と経営の分離の場合、親族内における相続又は生前贈与によって株式承継を行うことができると同時に、経営者として最適な後継者を企業内から幅広く見つけ出すことができることから、資産承継と経営承継の両面において事業承継を円滑に進めることができるでしょう。しかし、前述のように、このような分離スキームには構造的な問題があることから、この分離体制を長く維持することは容易ではありません。

第四の方向性は、第三者への売却(M&A)です。経営の後継者候補がいない場合には、外部の第三者に企業経営を譲るしかありません。その際に、経営権を譲るだけでなく、株式も親族外の第三者に売却してしまうことになります。

もちろん、全ての企業がしっかりとした事業価値源泉を有しているわけではないため、事業を承継したいという第三者が必ず見つかるわけではありません。

また、その企業の利益を生み出す事業価値源泉が、創業した企業オーナー(=経営者)の経営力(営業力、技術力、リーダーシップなど)や経営ノウハウに依存する場合、それを親族外の第三者に移転することは容易ではありません。そのような場合は、第三者への事業承継が困難となります。

第三者への売却(M&A)は、株式を買取る資金力を持つ買い手を見つけることができるかどうかが問題となります。しかし、仮にM&Aの買い手が見つかったとしても、これまで当該企業の経営に関与していない第三者が経営を引継ぐことになるため、経営承継は容易なことではありません。同じ商品・サービスを扱っている同業者でなければ、M&Aによって経営権を取得してすぐに経営を引継ぐことは困難でしょう。一定期間、従前の経営者が会社に残って経営に関与するなど、事業価値源泉を壊さずに経営権を移転させることができるよう、特別な取り組みが求められます。

M&Aの買い手を見つけることができず、事業価値を第三者に移転することもできなければ、廃業するしかないということになります。

事業承継については、事業承継コンサルティング株式会社へご相談ください。03-3527-9033

事業承継は、株式承継と経営承継を一体として考える

2015-07-09

企業オーナーが保有する資産は「非上場株式」です。すなわち、企業オーナーの相続対策は、企業オーナーが保有する「非上場株式」すなわち自社株式をいかに次世代に移転させるかという問題です。

業績好調で利益の内部留保が厚い会社、多額の含み益の土地を保有する会社は、自社株の相続税評価が高くなります。そのため、後継者の地位や遺産を巡る親族間争いが発生したり、相続税の納税資金が不足したり、相続には様々な問題が伴います。特に、税理士のアドバイスの巧拙によって相続税の負担が大きく変わるため、早い段階で資産税専門の税理士のアドバイスを受けておくことが重要です。

一方、自社株式によって裏付けられる権利は、会社を支配する権利であり、これに基づいて企業オーナーは、会社を経営しています。それゆえ、株式が承継されることは、会社の経営そのものが引き継がれるということです。これが「経営承継」のです。

以上のように、自社株式は「経営権」と「財産権」という経営の根幹に関わるものですが、経営者が経営権を確保するには、株主として一定の持株比率を確保しなければなりません。そのため、資産承継対策において、後継者の経営権の確保を考慮することが不可欠です。

真の意味で事業承継を考える場合には、株式という財産と企業経営の両面から理解をする必要があります。相続争いや節税対策を考えるうえでも、経営承継の円滑化を優先して考えることを忘れてはなりません。すなわち、経営承継を通じて、企業オーナーの経営理念や価値観が引継がれ、その結果として、自社の事業価値が高まり、非上場株式という資産の価値が高まるいう世代間を通じた企業経営を維持することです。

つまり、企業オーナーの相続対策は、オーナー個人の問題として捉えるべきではなく、企業全体を巻き込んだ「経営承継」の問題が伴うものとして捉えることが重要なのです。

社会的な観点から見れば、企業オーナーは、社会的に付加価値を生み出す企業を経営しており、その中核にあるのは、付加価値を生み出す事業価値源泉です。これを承継することは忘れてはならず、株式などの資産承継はそのための手段の一つであることを認識しなければなりません。

一般的に、企業オーナーの「株式承継」と「経営承継」をまとめて「事業承継」と呼びます。「経営承継」とは、事業価値源泉すなわち商売の仕組み(儲ける仕組み)を、いかにして次世代に継続させるかという問題です。一般的に、中小企業では企業オーナー個人に経営力が依存することが多く、その「経営力」を次の経営者に引き継ぐことができるかどうかが問題となります。その際、創業時の企業オーナーのリーダーシップによって維持されてきた経営体制を組織的経営へ移行することや、次世代の企業オーナーを経営者として一人前になるまで育成することなど、経営管理体制の整備が中心課題となるのです。

そう考えれば、後継者がいない場合には、その企業のビジネスを理解した親族外の後継者に承継させるMBOやM&Aも視野に入れるべきです。そうすることで、世代交代という大きなイベントを乗り越えて、顧客、従業員、取引先等の利害関係者の利益を維持することができるでしょう。

事業承継

事業承継

2015年7月23日(木)非上場会社を対象としたM&A-条件交渉、株式評価、取引スキーム-

2015-07-06

昨今、中小企業など非上場会社の事業承継に伴うM&Aが急増していますが、その場合、M&Aのプロセスや株式評価等において、大企業による子会社売却などとは異なる特別な配慮を要することがあります。例えば、所得税法上や法人税法上の時価評価においても、単純にDCF法やマルチプル法で対応するというわけにはいきません。

そこで本講演では、非上場会社を対象としたM&Aについて、その特有の論点を整理し、実務手続の進め方(M&Aプロセス)、非上場株式の評価、条件交渉の進め方、取引スキームの立案方法や実務上の留意点などを具体例も交えながら解説します。

Ⅰ.非上場会社のM&Aプロセス

1.個人オーナーの意思決定と売却準備

2.入札方式と相対取引の対応方法

3.情報開示と意向表明書の提出

4.株式譲渡契約書における条件交渉のポイント

 (ア)表明保証、誓約事項及びクロージングの前提条件と、解除や補償との関係

 (イ)デュー・ディリジェンスで瑕疵が発見された場合の条件交渉

5.M&Aを通じた経営承継


Ⅱ.非上場会社の株式評価

1.非上場会社の価値とは何か、どのように評価すべきか

2.M&A株価の評価方法(DCF法、類似上場企業比較法)

3.税務上の株価の算定方法(所得税法、法人税法の時価)


Ⅲ.非上場会社の取引スキーム

1.売り手が個人オーナーによる株式売却

2.第三者割当増資と支配権移転と、発行会社による自社株買取り

3.M&A前の役員退職金支払い

4.従業員による承継(MBO)

5.組織再編(会社分割による不動産切離し)を伴うM&A

6.経営統合(合併、共同持株会社設立)を目的とするM&A


Ⅳ.質疑応答
 

事業承継スキルアップ講座が開講いたします。

2015-06-10

このたび、事業承継コンサルティング株式会社では、 事業承継に必要なスキルを学ぶ「事業承継スキルアップ講座」を開講致します。

東京都中小企業診断士協会の小黒会長、池田副会長、事業承継研究会の鈴木会長の登壇が予定されています。ぜひご受講ください。

事業承継スキルアップ講座


「事業承継スキルアップ講座」開講のご案内


会社の存続を図るためには、円滑な事業承継が不可欠です。
事業承継は、社長という地位の「経営承継」と自社株式という財産の「株式承継」の 両面を同時に考える必要があります。経営承継の専門家である中小企業診断士と、 株式承継の専門家である公認会計士が連携してサポートすることで、社長の事業承継を 成功に導きます。

今回は当社が持つ事業承継のノウハウを全4 回の講座カリキュラムにてお伝えします。

●日程・概要
第1回 7 月19日(日)13:30-16:30
『企業診断の手法概論、事業承継支援の必要性』


第2回 8 月23日(日) 13:30-16:30
『株式承継の実務と事業承継税制』


第3回 9 月20日(日)
 13:30-16:30
『経営承継の事例、事業承継の顧客開拓の営業手法』

第4回 10 月18日(日) 13:30-16:30
『経営承継の実務』

●場 所
台東区生涯学習センター(予定)

●料金
単発 8,000 円 4 回連続 28,000 円(税込)

●申込方法
応募はEメールにてご連絡ください。弊社より改めて詳しいご案内をお送り致します。


●宛先 事業承継コンサルティング株式会社
担当:神林(かんばやし)

tokyo@kishida-cpa.com
03-3527-9981

●主催会社
事業承継コンサルティング株式会社
代表 岸田康雄 (公認会計士・税理士・中小企業診断士)
住所 〒103-0027
東京都中央区日本橋 1-7-11 日本橋東ビル 6 階
電話 03-3527-9033 FAX 03-3527-9971
ウェブ http://kishida-cpa.main.jp/
メール tokyo@kishida-cpa.com

 

一橋大学大学院商学研究科修士課程修了(経営学及び会計学専攻)
税理士、公認会計士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員

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